ワンダーシェフ 家庭用片手圧力鍋 MSA30 J11の修理
警告:圧力鍋は内圧が上がりすぎないよう安全を考慮して設計製造されており、素人修理は事故につながる可能性があります。本記事を参考にする場合は自己責任でお願いします。
だいぶ前から使っている圧力鍋です。ご覧の通り、蓋側の取っ手内部のプラスチック部品が破損しました。
加圧中、先端がオレンジ色の円筒(フロート式安全装置)が上に上がります。その間、鍋の蓋を開けられないようにするための金具の取り付け部分のプラスチックが以前から破断していて、金具なしの状態で使っていました。フロートが上がっている間は、決して蓋を開けないよう注意すれば、調理の機能自体は問題ありません。
今回破損したのは、この部品です。説明書では「クッキングスライドI」という名前になっています。説明書によると部品自体は420円ですが、本体全部をメーカーに送り返して修理してもらう必要があり、その間鍋が使えなくなってしまうので、代替部品の自作を試みます。
破損したクッキングスライドIは鍋の蓋の開閉を切り替える青い部品(説明書ではクッキングスライドII)の溝の中でバネに押されてスライドするようになっています。鍋側の取っ手にある切り欠きにスライドIの突起が押されて、蓋を閉めた状態ではスライドIが取っ手側に引っ込むようになっていますが、突起部分が折れました。
10mm角の真鍮六角棒を削って代替品を作ります。突起部分はM3ねじ付きの六角スペーサを削って角をとったものをねじ込んで作ることにしました。写真は真鍮六角棒を一部削ったあとの状態です。
2.5mmの下穴をあけてタップを切りました。ボール盤で目分量で位置合わせして下穴をあけたので位置が中心から少しズレました。事前にフライス盤で位置合わせしてセンター穴加工すれば正確な位置に穴あけできるのですが、そこまでする必要はないのでやってません。
裏側を平に削って、
バネが入る部分をくり抜きました。これもいい加減な位置合わせで左右の中心がズレてます。バネの直径は5mmで、オリジナル部品の穴径は5.5mmでしたが、手持ちのエンドミルが6mmしかなかったので、穴の中心を底面側にオフセットさせてくり抜き、底面に開口ができていますが、問題ないと思います。
バネが押す力がオリジナル部品と同じになるように、穴の底面から部品先端までの長さが同じになるようにしました。
作った部品がスライドIIの溝のなかをスムーズにスライドするよう、底面と上面を追加で少し削りなおしました。更に、このままだと部品の先端が鍋の蓋を開けるときに鍋のフランジと干渉するので、オリジナルと同じように、部品の先端を斜めに削る必要があります。
オリジナルは約15度の傾斜になっているので同じ角度で削ることにしました。
15度傾けてバイスで掴んで、
斜めに切削して出来上がり。角をヤスリで丸めておきました。
組み立てて、水を沸かしてテストしましたが、問題なく加圧後、安全に蓋を開けられることを確認しました。
あとは調理で真鍮が腐食しないかどうか、確認する必要がありそうです。また、真鍮はゴム類を腐食させるということですので、このままだとパッキンに問題が発生するかもしれません。