LTOテープドライブのヘッドを交換してみた

スタンドアロンのHP製LTO5を1台ヤフオクから購入して使っていたのですが、テープ交換が面倒なのでHPのテープライブラリMSL G3 SeriesのOEM版(日立)を同じくヤフオクで購入。LTO5ドライブ2台搭載でお得な値段だったのですが、どうにも書込品質に問題があるようで、書き込んだテープをトレイに戻すと"Poor write quality"と表示されてしまう。

ということで、ジャンクの不動LTO5をもう一台買って、最初に購入したLTO5とあわせて2台のヘッドをとりはずし、MSL G3内蔵ドライブ2台のヘッドを交換してみることにしました。

 

ライブラリ内蔵ドライブのデートコードは0211と4410(2011年と2010年)。かなり古いのでヘッドが摩耗していてもしかたないでしょう。しかもオートローダなので実際のテープ走行時間もものすごそうで。。

スタンドアロンドライブのデートコードは1315と4513でそこそこ新しいしスタンドアロンなのでそんなに使ってないでしょう。ちなみにスタンドアロンとライブラリ用ドライブは区別されていてスタンドアロンドライブをライブラリに組み込んでも動作しません。天板直下の基板を入れ替えてみましたが、ライブラリ用かどうかはメカ側に記録されているようで動作不可でした。

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ドライブ天板を取り外したところ。基板に接続されているコネクタを全部外すと基板を取り外せます。フラットケーブルはコネクタについている黒いタブを持ち上げると外せます。

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ヘッド周辺。ヘッドアッセンブリの両側にスプリングでアッセンブリを押さえつけるナットがあります。これを外せばアッセンブリまるごと外せそうです。左側のナットの少し上あたりに見える六角穴のような特殊穴のイモネジはドライブ底面からの高さと傾きを調整するもので、全部で3箇所あります。傾き等が変わってしまうので触らないように!

 

このナットを外したいのですが、かなり狭いところにあり、長い軸の下の方についているので市販のソケットドライバーやレンチが入りません。ということで、工具を作りました。

真鍮の六角棒(8x100mm)の中心にミニ旋盤で3.2mmΦ深さ20mmの穴を開けました。六角の角が周りの部品と干渉しそうなので同じく旋盤で高さ24mmまで角を落として丸くし、フライス盤で先端に幅5.5mmの溝を作りました。

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らくらく回せます!

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ヘッドアッセンブリがはずれました。ヘッド部分はサーボで上下にスライドするようになっています。

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テープ接触面を拡大。こちらは交換用のスタンドアロンドライブから外したもので、摩耗はほとんどないようです。16個のヘッドが縦に並んでいて左右に2列あります。書き込み用と同時読取りエラーチェック用だそうです。テープライブラリ内蔵ドライブから外したものは左右のテープ接触面がすり減っていました。フラットケーブルコネクタについているシリアル番号のラベルには古い方にはSTK、新しいものにはOracleの表記がありました。どちらもStorage Technorogy社製造ということでしょうか。ヘッドはHP製じゃないんですね。

ドライブ個体毎に傾き調整しないと性能が出ないのではと心配しましたが、特に問題なく交換成功。ライブラリの書込品質に関する警告は出なくなりました。

hp_lttというツールで書込品質のチェックをしたところ、fair marginやgood marginがあったものが全てexcelent marginなっており、こちらでもヘッド交換の効果が確認できました!

 

これでライブラリがまともに使えるようになったのですが、そのままだとファンがめちゃくちゃうるさいので普通の家で使う場合は対策が必要です。