パナソニック ビルトイン食洗器NP-P45VD2Sのノズル回転不良修理

警告: 修理用部品として食洗機洗浄槽内部に3Dプリンターで作製したものを使用します。この記事を参考にしたことによる健康被害等に責任を持てませんので、安全性につきましてはご自身で判断してください。

 

2007年から16年近くも使っている食洗器です。2021年7月に異音がするという不具合でポンプを交換しました。

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さらにその年の10月、水漏れでホースの交換をしました。

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その後、洗浄時に水を噴射しながら回転するノズルの裏の金属プレートが剥がれかけていたので、新しいノズルに交換して使用していましたが、最近になってノズルの回転が途中で停止したままになるという不具合が頻発するようになりました。

原因を調べたところ、食器をのせるカゴにノズルが接触したまま止まっていました。とりあえず、カゴの下に箸置きを挟んで回転がとまらないようにしていましたが、根本原因はノズルの回転軸を受ける洗浄槽の穴が摩擦で摩耗したことによる回転軸のブレでした。

ノズルの回転軸はこの写真のように上部と下部の2か所が洗浄槽の穴に接触するような構造になっています。

洗浄槽の穴の拡大写真です。ノズルが接触する部分、特に底のほうの右側が大きく削れていて、回転軸が左に傾いてノズルが右側に来たときにカゴに接触しやすくなっていたようです。

穴の内径を均一にするため、3Dプリンターで穴の内径にちょうどのサイズのガイドを作成することにしました。穴の内径は奥に行くほど小さくなっているので、だいぶ前にヤフオクで入手したシリンダーゲージを使って底のほうの内径を測定しました。


段差があったり削れていたりするので正確には測定できませんが、おおよその寸法を測定し、何回かプリントして寸法を調整しました。

3Dプリントで使うフィラメントについては食洗器の洗浄槽内部に使うものなので、人体に有害な材料は使えません。しかも庫内は高温にさらされ、ノズルとの摩擦にも耐える必要がるので、耐久温度が高く、耐摩耗性にも優れた材料が必要になります。そのような条件を満たす3Dプリンター用フィラメントを探したところ、FormFutura社のCentaur PPというポリプロピレンのフィラメントを見つけました。ポリプロピレンは耐久温度が高く耐摩耗性にも優れています。さらにCentaur PPはアメリカ食品医薬品局EUの食品安全基準の両方に適合し電子レンジや食洗器にも使えるとあり、今回の要求条件にぴったりです。ここから少量購入して使用しました。ただし、プリントする際に過去に使用した別のフィラメント材料が混入するなど、様々な要因で製作したものが安全とは言い切れませんのでご注意ください。万が一この方法で修理した食洗器を使用して健康被害が発生しても責任を負えません。

ガイドのモデルデータはFreeCADで作成しました。以下は試作を重ねて寸法調整した後のモデルの図面です。穴の内部構造に合わせて下のほうに段差をつけてあります。

FreeCADからstl形式でエクスポートしてUltimaker Curaでプリンター用データに変換しました。使用したプリンターはCreality社のEnder-3 S1(Proではない)です。
PLA用の0.4mmノズルStandard設定から以下の部分を変更してプリントしました。

  • レイヤー高さ0.1mm
  • 印刷温度 230℃
  • ビルドプレート温度 70℃
  • ファン速度 75%
  • 引き戻し距離 1.2mm
  • 引き戻し速度 25mm/s

この条件が最適かどうかわかりませんが、とりあえずちゃんとプリントできました。

ビルドプレートからはがれやすいのでラフトありでプリントしました。

ラフトを取り除いて洗浄槽のノズル取り付け穴に挿入しました。

これでノズルの取り付けにガタつきがなくなり、回転が止まらなくなりました。

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