テープライブラリ用外部mini-SAS(SFF-8088)ファンアウトケーブルの製作

だいぶ前(2017年9月頃)の記録です。

 

こちらの記事で書いたテープライブラリのドライブ2台をPCの外部mini-SASコネクタに接続するためのケーブルを製作したときの記録です。

burro.hatenablog.com

上記のテープライブラリは2台のLTO5ドライブを搭載しています。

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ドライブそれぞれに外部mini-SAS(SFF-8088)という規格のSASコネクタが搭載されています。PC側も同じSFF-8088です。これを接続するケーブルが必要ですが、なかなか安価に入手できるシロモノではありあせん。

SFF-8088は1つのコネクタで4台の装置に接続できるよう、4ポート分の信号配線を1つのコネクタで扱えるようになっています。それを個別に分離するファンアウトケーブルです。

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なんと、5万円もします。ヤフオクにもめったに出ていません。なので作ります。

両側が外部mini-SASの4mのケーブルをヤフオクで入手済みでしたので、接続の構成はこんな感じにしました。

PC <---> mini-SAS(SFF-8088 26ピン)4ポート外部ケーブル(4m) <---> SFF-8088 to SFF-SFF-8087 変換アダプタ <---> SFF-8087 to 2x SFF-8088 & 2x (SAS SFF-8482 29-pin & 4-pin Power)改造ケーブル <---> テープライブラリ装置

材料

(1) mini SAS SFF-8087 to SAS SFF-8482 29-pin & 4-pin Power×4 1m
購入時735円でしたが、今見たら4000円以上もしています。安い時に入手するか、ヤフオクあたりで探せば安いのがあるかもしれません。これは、PC内部でSASホストバスアダプタとSAS-HDDなどの機器を接続するケーブルです。

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mini SAS SFF-8087 to SAS SFF-8482 29-pin & 4-pin Power×4 1m

mini SAS SFF-8087 to SAS SFF-8482 29-pin & 4-pin Power×4 1m

 


(2) UGREEN Mini SASケーブル Serial Attached SCSI 26ピンSFF 8088 ラッチ付き 1M
サーバと外部SAS機器を接続するためのケーブルです。購入時2450円でしたが、現在入手不可のようです。今ならこちらでしょうか。 

 4ポートすべて接続されているタイプや全ポート接続されていないもの、また、機器の特定のポートにしか接続できないものなど、複数の種類があるようで、コネクタの溝とダイヤ型または丸型のマークで区別されているようです。4ポート全部接続で、溝が3本入っているものはユニバーサルタイプで、何にでも使えると解釈していますが、もしかしたらまちがってるかもしれません。改造に使うコネクタはポート1つ分しか使わないのですが、流通しているケーブルはだいたい溝2本で4ポートのユニバーサルタイプのようです。この溝3本のものを買えばまちがいないと思います。ただし、これをバラして改造しますので、コネクタハウジングがネジ止めで、分解と再組み立てができるものが必要です。ケーブル部分は捨てますのでなるべく短く安いものを選んでください。リベット等で組まれて分解できないものがありますので要注意です。


(3) SilverStone 内部SAS/SATAポートを外部インターフェイスに変換アダブタカード ST-SA011
1393円でしたが、破格だったかもしれません。

ケーブル製作(改造) 

(2)の中身です。ケーブル接続部が樹脂で固められています。
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カッターで横から切り込みを入れて、半分剥がしました。
f:id:lathe00744:20181014173804j:plain4ポート分それぞれ、青と白の差動信号線と被覆なしの細いGND線が基板にハンダ付けされています。この面のA2,A3がポート0のRx0+,Rx0-, A5,A6がポート1のRx1+,Rx1-という具合のピン配置で、A1,A4,A7,A10,A13がGNDです。裏側はB2,B3がポート0のTx0+,Tx0-というふうにA側が受信、B側が送信用の信号が配置されています。こちら、基板だけを再利用し、ケーブルは不要です。ハンダ吸い取り線を使って、パタンを剥がさないよう気をつけて配線を取り除きます。

(1)のSFF8482コネクタを2個(P1とP2)青い差動配線を切断して、先ほどのSFF-8088コネクタ内部の基板に接続します。
f:id:lathe00744:20181014175134j:plain配線の接続構成はSASの仕様書を参考にしました。ドラフト版の仕様書はこちらから無料で閲覧できるようです。http://www.t10.org/ftp/t10/document.08/08-212r2.pdf
127ページから144ページを参考に、テスタで導通確認をしながら配線しました。残念ながら、詳しい記録を残していません。

樹脂で固める代わりに、カップトンテープで保護しておきました。
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(1)のケーブルのP1とP2の2個のコネクタを、このようにSFF-8088に改造しました。残り2つはSFF-8482のままにしてあります。SASのHDDなりスタンドアロンのテープドライブなりを接続できます。

SASは6Gbpsの通信ができるのですが、このような簡単な改造でもエラーなく通信できています。5万円のケーブルを買わずにすみました。