CDプレーヤ Marantz CD-34 (Philips CD104)の修理

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Marantz CD-34

1985年Marantzから発売された有名なCDプレーヤ(Philips CD104のOEM)です。発売当初に購入してずっと使っていましたが、だいぶ前からトレイ開閉ボタンを押してもモータの動力が伝わらずトレイが出てこないという、この機種でよく知られた不具合状態になりました。それでも音がいいので、トレイの両脇を爪でひっかけて無理ヤリ引き出すという荒業で使っていましたが、ついに修理することにしました。

トレイ駆動系の修理

分解してみると、トレーを駆動するプーリーのギアの歯がすべてなくなっていました(左下の黄色っぽいプーリー)。f:id:lathe00744:20180923011654j:plainこれはよくある故障で、ネットに修理情報がたくさんあります。対処としては、修理用のプーリーを販売している業者さんから互換品を購入して交換するというのが一般的なようですが、安価な部品ではないので、ずっと放置していたわけです。 

とても安価なタミヤの模型用プーリーとミニ四駆のピニオンギアを組み合わせて修理したという情報をみつけたので、試してみました。f:id:lathe00744:20180923011756j:plain直径25mmのプーリーにミニ四駆の金属製ピニオンギアを埋め込んだものに交換するということなのですが、オリジナルのギアは10歯、ミニ四駆用は8歯で、直径が元のギアより小さくなります。プーリーの穴に埋め込むには高さ(歯幅)も十分ではないので、ちょっと問題がありそうです。ピニオンギアセットのプラスチック製ギアをカッターで切断したものを、スペーサ代わりにして高さ調整し、無理やり組み立てましたが、トレイの開閉時に「ガガガ」という感じの音がします。さらにCD挿入時には最後まで閉まりきらず途中で止まるという結果になりました。音がするのはギアが小さく、うまく噛み合っていないからで、途中で止まるのはベルトが滑るのが原因のようです。

ということで、残念ながらこの方法は断念しました。

オリジナルのプーリーに付いているギアは10歯で、直径から計算するとモジュール0.5のようです。この条件で使えそうなギアを入手しました。これを先ほどのタミヤのプーリーに組み合わせます。f:id:lathe00744:20180923011808j:plain

タミヤのプーリーの真ん中の穴は直径5mmなので、ギアの軸を5mmまで削って、中心に直径2mmの穴を開けました。プーリーに埋め込む部分にギアの溝が少し残りますが問題無いでしょう。f:id:lathe00744:20180923011826j:plain

プーリーに挿入した時に軸が滑らないよう、ローレット加工をしました。転造ローレットで加工したので、加工前より直径が大きくなり、プーリーの穴との嵌め合いがいい感じになって全く滑りません。f:id:lathe00744:20180923011850j:plainこの写真では突っ切りバイトで切断した際の削り残りがついていますが、ヤスリで取り除きました。一旦切断してしまうと、もう旋盤には取り付けられないので切断した側の端面を削ることができず、ヤスリを使いましたが、なにか方法があるような気がします。ミニ旋盤を導入してからあまり経験を積んでいないので、まだまだ勉強不足です。

かみ合わせと全体の高さを確認して、f:id:lathe00744:20180923011858j:plain

プーリーに挿入して組み立てました。ベルトが滑る対策としてポリウレタン丸ベルトを適当な長さで熱融着したものに交換しました。融着部分の出来が悪いのですが、写真では隠れています。f:id:lathe00744:20180923011909j:plain以上の修理でとても静かにトレー開閉できるようになり、喜んだのも束の間、全く別のトラブルが発生しました。

制御マイコンまわりの修理

電源を入れてもディスプレイになにも表示されず、まったく動かなくなりました。いろいろボタンを押してみたところ、STOPボタンを押すと正常に動き出すという症状です。電源入り切りを繰り返すと、たまに曲番号の表示が全点灯になったりといったことも起こります。この場合もSTOP押下で正常に戻ります。どうやらマイコンのリセットが電源投入時にかかっていない感じです。

リセット回路のコンデンサ容量抜けを疑い、操作パネル裏の基板に実装されている電解コンデンサの容量を測ってみたところ、68uF表示のコンデンサが21.5uFといった具合になっていました。まずはこの基板のコンデンサを手持ちの容量値が近いものに交換してみましたが、症状かわらず。f:id:lathe00744:20180923011941j:plain

つぎに蛍光表示管を搭載する基板の右端の青い電解コンデンサを交換したところ、不具合解消しました。もとの容量は68uFでしたが、同じ値のコンデンサが手持ちになく、39uFに交換しました。とりあえずしばらくこれでごまかそうと思います。f:id:lathe00744:20180923012341j:plain

ネットの情報では、修理の際にすべての電解コンデンサを交換している例が多いので、時間ができたらやったほうが良さそうです。青い電解コンデンサを何箇所か片足を外して測定したところ、軒並み定格表示値の30%くらいになっていました。この状態で音が劣化しているようには感じないのが不思議ですが、アナログ信号系統には使われていないということでしょうか。

ちょっとすっきりしませんが、今回は以上で終了です。